福岡は美味しいものがたくさん!
- 豚骨ラーメン
- 明太子
- 水炊き
- もつ鍋
などが四強と言えるでしょうか。しかし、福岡の美味しいものはこれだけではありません。
- ごまさば
- うどん
- 天ぷら
- 鉄鍋餃子
など、挙げだしたらきりがありません。今日はその中でも、筆者の家族がラーメンと並んでよく食べる「福岡のうどん」について紹介したいと思います。
筆者はよそ者(福岡出身ではない)ので、深いことは語れませんので、生粋の福岡民の読者の方はご容赦ください。

よそ者から見た「福岡のうどん」ということで…
実は福岡、うどん発祥の地?
「うどん発祥の地は福岡」という説は、全国的にどれほど広く知られているかわかりませんが、福岡の人には「うどん発祥の地は福岡」として知られているようです。
ちょっと調べてみましょう。
聖一国師が持ち帰った製粉技術の革新
福岡がうどん発祥の地とされる根拠は、鎌倉時代の僧侶・聖一国師(圓爾)の功績にあるようです。聖一国師は1235年に中国の宋へ渡り、径山寺で仏教を学んだ後、1241年に帰国しました。彼は仏教の教えだけでなく、水力で動く製粉機械の図面「水磨の図」という画期的な技術も持ち帰ったのでした。

きっと、当時最先端の技術だったんですね〜
この製粉技術の導入により、福岡では小麦を大量に粉にすることが可能となり、一般市民にも小麦粉が手に入りやすくなりました。聖一国師は1243年までの2年間博多に滞在し、承天寺を開いて布教活動を行いながら、麺や饅頭といった料理を博多にもたらしたとされています。
この技術革新こそが、うどん文化が福岡から全国へ広まる基盤となったというのです。

聖一国師は留学先の宋で麺も食べたのでしょうか?
資料の雰囲気では「製粉技術」と「麺や饅頭」セットで輸入されたような感じです。
VS讃岐うどん:発祥説との時代的な違い
一方で、香川県の讃岐うどんにも古い起源説が存在します。最も有名なのは、香川県出身の空海(弘法大師)が806年に遣唐使として中国の唐から「混沌(こんとん)」という小麦粉食品(小麦粉にあんこを入れて煮た菓子)の製法を持ち帰ったという説です。

資料には「唐菓子」と…
この説によれば、空海が中国の西安で食べられていた練った小麦粉をゆでて食べる食文化を琴平町に伝授し、混沌が検飩、温飩を経て最終的に「饂飩」となったとされています。

空海が製麺の知識を同時に伝えていないのなら、ここから「うどん」に発展するには相当時間がかかりそう
この情報によると、時期的には讃岐の空海説の方が福岡の聖一国師説より400年以上早いことになります。しかし、福岡のうどん関係者は「市民のために挽いた粉で小麦粉が生まれて、それが今のようなうどんになって、大衆に向けて広がったというのは福岡のほうが早い」と主張しています。

いつか、決定的な証拠が発見されるかもしれませんね。
筆者が言えることは、「どちらのうどんもとても美味しい」ということです。うどん文化を育て、伝えてきた先人に感謝ですね。
物的証拠と歴史的検証は?
各地の発祥説を検証すると、物的証拠の確実性に違いがあることが分かります。讃岐うどんについては、1703年頃に制作された「金毘羅祭礼図屏風」に3軒のうどん店が描かれており、これが現在確認されている中では最も古い物的証拠とされています。

この屏風は1703年頃ではなく「元禄時代」(1688-1704年)に制作されたとする資料もあります

うどんをの延ばす工程

うどんを切る工程
出典:木下製粉株式会社『554 金毘羅祭礼図・・・讃岐最古のうどん店』
この屏風には「うどん打ち工程」「めん切り工程」「捏ね工程」といった異なる作業工程が詳細に描かれており、当時のうどん文化の成熟度を示しています。

これはかなり確実な情報ですね!
しかし、聖一国師が福岡にうどんを伝えたとされるのは1200年代…(これも伝承)
一方、福岡の聖一国師説や讃岐の空海説については、確実な史実としての証拠は限られており、伝承の域を出ていないのが実情です。讃岐うどんの専門家も「空海伝説と言われているように、確証があるわけではありません」と認めており、福岡と讃岐の間には約800年もの時間的な隔たりがあり、「さぬきうどんの大きなミッシングリンク」が存在するとされています。
このように、うどんの発祥地については複数の説が存在し、それぞれに歴史的背景と地域の誇りが込められています。確実なことは、福岡も讃岐も、それぞれ独自のうどん文化を育み、現在まで大切に受け継いできたということでしょう。

日本人は古代から航海技術に長けていたから、海路で「うどん(みたいなもの)」がそこら中に伝わってもおかしくありませんね。
福岡のうどんはおいしい!
福岡のうどん文化は、ただ歴史が古いというだけではありません。地元の人々に長年愛され、それぞれが独自の魅力を持つ名店が数多く存在します。ここでは、福岡を代表するうどん店をいくつかご紹介します。
かろのうろん:明治から続く博多最古の老舗
1882年(明治15年)創業の「かろのうろん」は、福岡で最も歴史のあるうどん店として博多っ子なら誰もが知る名店です。店名の「かろのうろん」は、生粋の博多弁で”だ”行を”ら”行で発音する特徴から生まれており、「かどのうどん」(角のうどん)という意味を持っているそうです。

筆者はまだ「かろのうろん」には行ったことがありません…(有名なのに)

出典:クロスロードふくおか『かろのうろん』
看板メニューは「からし明太子うろん」で、明太子がまるまる1つトッピングされた博多の味を存分に味わえる一杯。前日に手打ちし一晩寝かせた麺は、やわらかくモチモチの食感でコシがあり、のどごしの良さが自慢となっています。

福岡のうどん、基本は「ふわふわ、もちもち」の柔らかい麺です。
牧のうどん:麺が膨らむ魔法のようなうどん
1973年に加布里で創業した「畑中製麺所」という製麺所をルーツとする「牧のうどん」は、45年以上にわたって地元福岡の人々に愛され続けています。当初は麺の小売りのみを行っていましたが、地元の駐在さんが湯がきたての麺のおいしさを褒めたことがきっかけで、店内でも麺を提供するようになりました。

ネギ入れ放題なので大好きです!
「牧のうどん」最大の特徴は、なんといっても麺がスープを吸って増えていくことです。そのため、食べ進めていくうちに出汁が少なくなることを見越して、やかんに入った継ぎ足し用の出汁が一緒に提供されます。

娘A
食べても食べても減らない麺…

牧のうどんは麺の硬さを「やわ麺」「中麺」「硬麺」から選べます

出典:釜揚げ牧のうどん『株式会社 釜揚げ牧のうどん』
看板メニューは「ごぼ天うどん」で、スープを吸ってどんどん膨らみ柔らかくなる麺との相性が抜群です。他にも個性的なスタイルの「カレーうどん」や、お持ち帰りもできる「かしわご飯」もおすすめです。
資さんうどん:北九州発祥、24時間営業も魅力

筆者撮影
「資さんうどん」は北九州市発祥のうどんチェーンです。1976年1月、大西章資さん(当時33歳)が戸畑区一枝に本店を開店したのが「資さんうどん」の始まり。

筆者は資さんうどんでは「かしわごぼ天うどん」一択です!
資さんうどんの代名詞となっているのが、スティック状の「ごぼ天」です。最初はささがきのゴボウのかき揚げだったそうですが、うどんとの相性を研究し、ゴボウの太さや切り方など改良を積み重ねて現在のダイナミックな形に行き着きました。
資さんうどんは、「すかいらーくグループ」の傘下で、福岡県外にも進出しているようです。

出典:資さんうどん『店舗検索』
24時間営業で、「どこも閉まってる、でも家で自炊する元気はもうない」という時の強い味方です。ここで調べるまで「北九州発祥」ということを知りませんでした。

娘B
「鶏天うどん」が大好き!
おでんや「ぼた餅」、焼きうどん、丼ものなど、資さんうどんもメニューがとても豊富。筆者の行きつけの店舗は広々とした活気ある厨房が席から見渡せます。
こまどりうどん:煮込み系うどんの豊富さが自慢

筆者撮影
「こまどりうどん」は、福岡市早良区や西区を中心に店舗を展開を展開するうどんチェーンで、うどんとそばを両方楽しめるのが特徴。店内は座敷やテーブル席が多く、ファミリーでもゆったり食事できる雰囲気です。

息子
おすすめは「もつうどん」!
こまどりうどんは、うどんだけでなく、そばやにゅうめん、丼物、定食などメニューが非常に豊富なことです。筆者の家族には煮込み系のうどんが好評です。

ほかにも、1つで3人前相当の「ジャンボ丼」や、ちゃんぽんの麺をうどんにした「うどんチャン」など個性的なメニューがたくさんあります。

筆者撮影

「えっ」と思うメニューもありますが、挑戦してみるとどれもおいしいです。メニューによってはボリュームがあるので注意!
昭和の趣を感じさせる雰囲気で、「十割そば(そば粉100%のそば)」も提供しています。
福岡のうどん文化は地域の宝物

筆者撮影
福岡のうどんについて調べてみて、改めてこの地域の食文化の豊かさに驚かされました。福岡の人が「発祥の地」と信じるの歴史的背景から、現代まで愛され続ける名店の数々まで、福岡のうどんには長く深い物語があります。

よそ者の筆者から見ても、福岡の人々がうどんに寄せる愛情は特別なものを感じます!
讃岐うどんとの発祥論争も興味深いものですが、大切なのはどちらも素晴らしい「うどん文化」を育んできたということでしょう。福岡に住む筆者は、この豊かなうどん文化を日々味わえることに感謝しています。
福岡を訪れる際は、ぜひ福岡のうどんを楽しんでみてください。

参考
NAVITIME JAPAN『明治15年創業の老舗「かろのうろん」は福岡一の歴史ある名店』