2025年、福岡では春が長く感じています。今日はハナショウブ(多分)が咲きました。
近い場所に「ハナショウブ」や「アイリス」を植えたため、数年後にはどれが残っていて、どれが今咲いているのかがわからない状況に。

さすがにアイリスが咲いたらわかると思うのですが…
(今日、咲いていたのはアイリスではない、ということだけがわかります)
Google レンズで調べてみたら「ハナショウブ」と出たので、今回のタイトルは「花菖蒲(ハナショウブ)が咲きました」にしてあります。これが正解なのか、少し調べてみましょう。
アヤメ科の基本

出典:Wikipedia『尾形光琳』
春から初夏にかけて、私たちの目を楽しませてくれる美しい花々の中に、「アヤメ科」の植物たちがいます。すっと伸びた緑の葉と、紫や白、黄色など、色とりどりの花びらが織りなす姿は、まるでゴッホや尾形光琳の絵のようです。
アヤメ科の植物は、世界中にたくさんの種類があり、日本でも古くから庭園や野山で親しまれてきました。もしかしたら、皆さんの身近な場所でも、毎年美しい花を咲かせているかもしれません。
「アヤメ」や「アイリス」という名前はよく聞くけれど、実はたくさんの仲間があるのを知っていますか?。これらの花々は、どれも凛とした美しさを持っていますが、種類によって少しずつ特徴が異なります。

違いを知れば、花を見分ける楽しみも増えますし、それぞれの魅力をもっと深く感じられるかもしれませんね。
代表的な仲間たち
アヤメ
アヤメは乾燥した草原や山地を好み、5月上旬から中旬に紫色の花を咲かせます。花びらの根元には網目模様があり、黄色い斑紋が特徴的です。一日花ですが、次々とつぼみが開くので長く楽しめます。
ハナショウブ

出典:WIKIMEDIA COMMONS『Iris ensata 2013-06-14』
ハナショウブは湿った場所を好み、6月上旬から下旬にかけて咲く花菖蒲園の主役です。花びらの根元は黄色く、網目模様はありません。紅紫、紫、絞り、覆輪など花色が豊富で、葉の主脈がはっきりと太いのが特徴です。
カキツバタ

出典:WIKIMEDIA COMONNS『杜若 勧修寺』
カキツバタは水辺や湿地を好み、5月中旬から下旬に青紫の花を咲かせます。花びらの根元には白い斑紋があり、網目模様はありません。葉の主脈は細く目立たないのが特徴です。
イチハツ

出典:WIKIMEDIA COMMONS『Iris tectorum』
イチハツは「一番に咲く」という名前の通り、アヤメ科の中で最も早い時期に花を咲かせ、外花被片の付け根に白いとさか状の突起があるのが大きな特徴です。
ジャーマンアイリス
ジャーマンアイリスは多くの原種を交配して作られた園芸品種群で、「ドイツアヤメ」とも呼ばれます。
5月から6月にかけて咲く大輪の花は、赤、紫、青、白、黄、オレンジなど豊富な花色から「レインボーフラワー」や「虹の花」とも呼ばれています。最大の特徴は花びらの根元にあるブラシ状の毛で、これがあることで「髭アイリス」とも呼ばれ、他のアヤメ科の花と簡単に見分けることができます。
乾燥した環境を好み、植えっぱなしでも育つ丈夫さも魅力の一つです。
見分けるコツ
花の見分け方で最も重要なのは、花びらの根元の模様です。
- アヤメには網目模様
- ハナショウブには黄色い斑紋
- カキツバタには白い斑紋
開花時期も大切な手がかりになります。イチハツが最も早く、続いてアヤメ、カキツバタ、最後にハナショウブという順番で咲きます。
生育環境を観察することも効果的です。
- アヤメは乾いた場所
- カキツバタは水辺
- ハナショウブは湿った場所
この環境の違いを覚えておくと、花が咲いていない時期でも判別の手助けになりますよ。
葉っぱでも見分けられます
意外に知られていませんが、葉の特徴でも見分けることができます。ハナショウブは葉の主脈が太くはっきりしており、表に1本、裏に2本突出しています。一方、アヤメやカキツバタの主脈はほとんど目立ちません。
これらの特徴を覚えておけば、お庭や公園で出会ったアヤメ科の花たちを正しく見分けることができるようになります。それぞれに独特の美しさがあり、季節を通じて私たちの目を楽しませてくれる素敵な仲間たちです。
ゴッホも愛したアイリス

出典:WIKIMEDIA COMMONS『Van Gogh – Vase mit Iris vor gelbem Hintergrund』
今回は福岡で5月に咲いたアイリスの仲間について、基本的な知識と見分け方を調べてみました。アヤメ、ハナショウブ、カキツバタ、イチハツ、そしてジャーマンアイリスなど、それぞれに独特の美しさと特徴がありますね。
これらの花は古くから世界中で愛され続けており、芸術作品にも数多く描かれています。特に筆者か気に入っているのは、フィンセント・ファン・ゴッホが1890年に描いた名画「アイリスのある花瓶、黄色い背景」です。
この作品は、ゴッホがフランスのオーヴェル・シュル・オワーズで過ごした最後の時期に描かれたもので、現在はアムステルダムのファン・ゴッホ美術館に所蔵されています。ゴッホの「アイリスのある花瓶、黄色い背景」は、鮮やかな黄色の背景に青紫色のアイリスが花瓶に活けられた静物画で、補色の対比が美しく印象的な作品です。
この時期のゴッホは、新しい環境で精力的に創作活動に励んでおり、アイリスの花びらの繊細な描写と力強い筆致が見事に調和した傑作となっています。

筆者も「ゴッホ展」でこの絵を見ました。思ったより大きくて、輝くような色使いの素晴らしい絵でした!
アヤメ科の花々は、種類によって少しずつ表情が異なり、それぞれが独自の美しさを持っています。ぜひ、皆さんも身近なアヤメ科の花に目を向けて、その繊細な色合いや形の面白さ、そして力強い生命力を感じてみてください。
きっと、日々の暮らしに新たな彩りを発見できるはずです。

参考
ウェザーニュース『七十二候「菖蒲華」アヤメ?ショウブ?見分けるポイントは』(2020年6月)