歯に艶がなく、凸凹していて汚れがつきやすい…そんな人は、もしかしたら「エナメル質形成不全症」かもしれません。
私の子どもの一人が、その疑いあり。少し調べてみました。
その子は、小さい頃から虫歯になりやすくて、歯に透明感がないな、と思っていました。今はもう大きいのですが、今日一緒にインドカレーを食べに行ったときのこと。
歯がすっかりカレーの色に染まっていることを指摘したら、機嫌を損ねてしまいました。反省しつつ、なんとかしてあげたいと思い、家に帰って調べてみると「エナメル質形成不全症」という新出単語に遭遇。
果たしてなんとかなるものなのか…?「エナメル質形成不全症」について調べてみました。
エナメル質形成不全症とは?
エナメル質形成不全症は、歯の表面を覆うエナメル質が正常に発達せず、十分な厚みや硬さ、滑らかさを持たない状態のことです。エナメル質は歯の最も外側にある組織で、歯を保護する重要な役割を担っていますが、この症状があると歯の表面が凸凹したり、艶を失ったり、変色や欠けが生じやすくなります。
エナメル質形成不全症は乳歯・永久歯のどちらにも発生するらしく、むし歯のリスクを高めるだけでなく、見た目の問題や知覚過敏など、日常生活でも気になったり困ったりすることも。
この症状を理解するためには、発症の背景や特徴、診断のポイントなど、いくつか押さえておくことがありそうです。
エナメル質形成不全症の主な原因
エナメル質形成不全症は、先天的な要因と後天的な要因の双方が関係しています。先天的要因としては、以下が影響するそうです。
✔遺伝的な異常
✔胎児期の母体の健康状態(栄養障害、内分泌異常、感染症、薬剤の影響など)
例えば、妊娠中の母親が十分な栄養を摂取できなかった場合や、特定の薬を服用した場合、胎児の歯の発育に影響を及ぼしやすくなります。
後天的要因としては、以下が挙げられます。
✔乳幼児期の高熱
✔重篤な疾患
✔外傷
✔乳歯の虫歯や損傷
特に乳歯の虫歯や外傷は、顎の中で発育中の永久歯にも影響を与え、将来的なエナメル質形成不全の原因となることが知られています。
症状の特徴と診断のポイント
エナメル質形成不全症の歯は、通常の歯と比べて表面がざらつき、艶がなく、白濁や黄色、茶色などの変色が見られることが多くあります。これが原因で、歯の一部が欠けていたり、歯の形が不規則になっている場合もあります。
こうした症状は、左右対称に現れることもあれば、特定の歯だけにあることもあります。
診断は歯科医師による視診や触診が基本です。近年では、歯科用X線やデジタル画像診断技術も活用され、より正確な診断が可能となっています。
発症のメカニズムと社会的背景
エナメル質形成不全症の発症には、個人の健康状態や遺伝だけでなく、社会的・環境的な要素も密接に関係しています。戦後日本の栄養状態の改善や、母子保健の向上によって発症率が低下した地域もある一方で、現代でも早産や低出生体重児の増加、生活習慣病の増加などが新たなリスク要因となっています。
また、国際的にはWHO(世界保健機関)や日本の厚生労働省が、母子の健康管理や小児歯科保健の重要性を強調し、エナメル質形成不全症の予防や早期発見に取り組んでいます。
エナメル質形成不全症の改善方法はあるの?

エナメル質形成不全症は珍しい症状ではないと思います。近年は予防から治療まで多様な方法が確立されているそうで、症状の程度や目的に応じた適切な対応が可能です!!
症状の軽重や目的に応じて、いくつかの治療や予防策が選択できます。どのような改善策があるのか、具体的に見ていきましょう。
フッ素塗布とセルフケアによる歯質強化
軽度のエナメル質形成不全では、歯科医院でのフッ素塗布が基本的な対策となります。フッ素は歯の再石灰化を促進し、エナメル質の耐酸性を高めることで虫歯のリスクを下げる効果があります。
定期的なフッ素塗布に加え、家庭でのケアとしてフッ素入り歯磨き粉やマウスウォッシュの使用も推奨されています。シーラント※と呼ばれる樹脂で歯の溝を埋める処置も虫歯予防に有効です。
シーラント
奥歯の深い溝やくぼみをプラスチック樹脂で埋める歯科処置。食べかすや細菌の侵入を防ぎ、虫歯のリスクを大幅に減少させる。主に小児歯科で推奨され、厚生労働省も予防歯科の一環として普及を推進。痛みや削る必要がなく、即効性の高い虫歯予防法。
補綴治療(レジン・クラウン・ベニア)
中等度から重度の場合や、見た目の改善を希望する場合には、補綴治療を選択できます。例えば、コンポジットレジン(歯科用樹脂)で欠損部位を補修したり、ダイレクトボンディングで白斑や凹凸を目立たなくする方法があります。
広範囲の損傷や前歯など審美的な要求が高い場合には、セラミック製のクラウンやラミネートベニアを使用することもあります。これらの治療は、歯の機能回復だけでなく、見た目の改善にも大きな効果をもたらします。
生活習慣と予防方法
日常生活での予防も重要です。バランスの良い食事、適切な歯磨き、定期的な歯科受診を心がけることで、エナメル質形成不全症による二次的なトラブルを防ぐことができます。また、市販の口腔ケア製品(例:Miペースト)を活用することで、初期の白斑やざらつきを軽減できる場合もあります。ただし、乳製品アレルギーの方は注意が必要です。
エナメル質形成不全症の改善には、症状の程度や目的に応じて様々な方法が存在します。早めに歯科医師へ相談して、適切なケアを受けることが賢明ですね。
まとめ

どうやら、エナメル質形成不全症はなんとか改善できそうで、筆者は安心しました。あとは、機嫌を損ねないように改善策を子どもに提案するのみです。
まだ、先程おこっているようだったので、タイミングを待ちます。またやらかしてしまった筆者ですが、「エナメル質形成不全症」を知る機会になり…
この症状に心当たりがある人は少なくないと思います。副業ライター歴が長く、リサーチは得意なので、現時点での主な治療方法は紹介できていると思います。
テクノロジーの進歩が目覚ましいので、きっと数年後には、さらに良い治療が受けられるようになるでしょう。エナメル質形成不全症でない人も、歯は大切にしましょうね。

参考
大学ジャーナル『エナメル質形成不全は西高東低、富山大学など全国調査』(2018年12月)
ふくの歯科・矯正歯科『エナメル質形成不全症について』(2019年10月)
医療法人三咲会 ハローデンタルクリニック『乳歯のエナメル質形成不全とは?原因・予防・治療法を徹底解説』(2024年12月)
あきる野市秋川駅の歯医者「きらら歯科」『シーラント|むし歯予防』
Apple Dental Clinic『ホワイトスポット・エナメル質形成不全の治療』
クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院『子供がエナメル質形成不全と診断された場合はどうしたらいい?』(2023年2月)
香椎照葉こどもとママの歯科医院『子供がエナメル質形成不全と診断されたら』(2024年7月)